遺影の飾り方】正しい位置・期間・タブーを知り、故人を美しく偲ぶ方法

遺影とは、故人の生前の姿を写した大切な写真です。

葬儀後に自宅でどう飾るか悩む方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、宗派やマナーに配慮しながら、現代の住宅事情にも合うように遺影の飾り方について解説していきます。

遺影とは何か？

「遺影（いえい）」とは、故人を偲ぶための写真です。

葬儀の祭壇に飾られ、通夜や告別式を通じて、故人との最後の時間を共有する象徴的な存在になります。

近年では、宗派を問わず、より自然で温かみのある写真を選ぶ傾向があります。

生前に準備する「生前遺影」とは

多くのご家庭で意外と困るのが、遺影に使える写真が見つからないことです。

最近の写真はスマートフォンで撮った集合写真やスナップが多く、本人がはっきり写っていなかったり、切り抜いて使うと画質が粗くなってしまうこともあります。

さらに、「この表情で本当にいいのだろうか」「本人の好みを反映できているだろうか」と、ご家族が悩むケースも少なくありません。

そこで、近年注目されているのが、生前に自ら撮影しておく「生前遺影」です。

お気に入りの服装や表情で撮影しておくことで、残される家族の負担を軽減し、本人らしさを残すことができます。

遺影にふさわしい写真と額縁の選び方

自然な表情を選ぶ

遺影は形式的な証明写真のようなものよりも、「その人らしさ」を感じられる自然な笑顔の写真が好まれます。明るい背景や穏やかな表情が故人の人柄を伝えやすく、見る人の心を和ませます。

額縁のデザインと色

従来は黒縁が主流でしたが、最近は木製や白、ナチュラルカラーも人気です。

仏壇や部屋の雰囲気に合わせて選ぶことで、違和感のない美しい飾り方ができます。

額縁に反射防止ガラスを使うと、光の映り込みを防げるのでおすすめです。

サイズの目安

祭壇用は四つ切（約25cm×30cm）が一般的です。

自宅で飾る場合はL判やキャビネ判など、小ぶりなサイズが人気です。

小型の額縁を複数並べて飾ると、家族写真のような温かい空間が生まれます。

遺影を飾る場所とタイミング

葬儀後〜四十九日まで：後飾り祭壇に飾る

葬儀後は「後飾り祭壇」を設け、遺骨や位牌とともに遺影を飾ります。

これは四十九日までの期間限定で、弔いの中心となる場所です。

四十九日以降の飾り方

法要が終わったら、後飾り祭壇を片付けて、遺影を仏壇の横やリビングの棚など、家族が自然に目を向けられる位置に移動します。

仏壇の中や上に飾るのは避けましょう。

方角と照明のポイント

遺影を飾る方角に明確な決まりはありませんが、東向きまたは南向きが好まれます。

太陽光が穏やかに当たる位置を選び、直射日光や強い照明を避けると写真が長持ちします。

遺影を飾るときのタブーと注意点

• 仏壇の中・真上に飾るのは避ける（ご本尊を見下げる形になる）
• 湿気の多い場所や直射日光の当たる場所を避ける
• 額縁を壁に掛ける場合は、しっかりと固定して落下防止を行う
• 写真が劣化してきたら、データを使って新しくプリントし直す

遺影を飾りたくない・処分したい場合の選択肢

遺影は必ず飾らなければならないものではありません。

宗派や地域によっては、法要後に片付けても問題ないとされます。

処分する際は、お寺や葬儀社で「お焚き上げ供養」を依頼するのが一般的です。

最近では、遺影をデジタル化してクラウド保存するケースも増えています。

リビングのフォトフレームやスマートディスプレイに表示するなど、現代的な偲び方も広がっています。

遺影の飾り方で大切なのは「心の距離」

遺影は単なる写真ではなく、「故人と家族をつなぐ象徴」です。

形式的に飾るよりも、家族が自然に目を向け、語りかけられるような場所に置くことが大切です。

仏間だけでなく、リビングや寝室など日常の空間に調和させることで、いつまでも故人を近くに感じられるでしょう。

まとめ

遺影の飾り方に「絶対の正解」はありません。

宗教的マナーを尊重しつつ、家族の気持ちや住まいに合わせて決めればよいのです。

最も大切なのは、故人を思う心を形にすることです。

どんな飾り方でも、そこに「故人を想う気持ち」があれば、それが最も美しい供養になります。