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【祭】とは?何のために祭りをするの?起源や由来など歴史から解説
日本の夏の風物詩といえば夏祭り。七夕、盆踊り、縁日、花火大会など、楽しい行事が目白押しの季節です。
長い歴史の中で、日本人は「祭」という言葉をどのように扱い、どのような意味で使われてきたのか。
当たり前のように普段使っている言葉ですが、言葉の起源や意味についてきちんと考えることってなかなか無いですよね。
そこで今回は「祭」という言葉の起源と意味について紹介していきます。
お祭りとは
日本のお祭りの本来の目的は「神様に感謝する」こと。
「祭り(まつり)」という言葉の語源も「祀る(まつる)」です。
神を慰め、祈願すること、またはその儀式を指し、土着の神様、神道または仏教に由来します。
日本人のお祭りに対する思いを理解する上で重要なのが、「ハレ」と「ケ」の概念。
「ハレ」とは「非日常」、「ケ」は「日常」。祭りは「ハレ」であり、華やかに執り行うことで「ケ」をリセットする意味があります。
日本人は、この「ハレ」の機会を楽しみにし、「ケ」の日常を生きる活力の源としているのです。
また、神様とは関係のない新しいものもあります。
例えば、地域おこしのための市民祭り、雪まつりや桜まつりなど季節に由来するもの、外国由来のお祭りなど。
これらも現在は文化を尊重し、季節に感謝し人々を繋ぐため日本に欠かせないものとなっています。
「祭事」「神事」「神賑」の違い
現代でいう「お祭り」は、地域や学校の行事といった身近なものから、花まつりやひな祭りといった四季や文化にまつわるもの、神社やお寺が主体となる祭事や神事など、色々な形態の催しをいいます。
お祭りを開催する目的や意味はそれぞれ違うため、主催する側の事情や社会情勢により開催の有無、規模が変わってきます。
お祭りは「まつりごと」「さいじ」ともいいますが、その違いを見てみましょう。
- 祭事(まつりごと・さいじ)
感謝や祈りを込めて神仏や祖先などをまつる行事、祭礼。
主体は様々。イベントの総称としても使われる。
- 神事(かみごと・しんじ)
神への奉仕、祈祷など厳粛に行われる儀式、祭祀。
神社の宮司が主体。
- 神賑(かみにぎわい)
人々に披露する目的で行われるもの。氏子などが主体。
また歴史をたどれば、天下を治める政治も「政:まつりごと」といいます。
時の権力者が国を統治するという意味で定義され使われます。
お祭りは主体となる人によって違いがあるということですが、ともなれば人間の行いはすべて「祭り」から始まるともいえますね。
お神輿
日本のお祭りと言えば、お神輿(みこし)
お神輿とは、お祭りの時に神様が地域内を回る為に乗る「輿」(乗り物)のこと。
半纏と呼ばれる祭り衣装を身にまとった担ぎ手たちが、神輿を肩に担ぎながら神社近隣の地域を回ります。
災厄や穢(けが)れを吸収して清めたり、人々の豊作祈願や願いを聞き入れたりするために行われると言われています。
お神輿の魅力は、担ぎ手の熱気。重いものは何百キロもあり、たくさんの人が力を合わせて肩に担ぎます。
基本的にその町内に住む人が中心になって担ぐため、地域コミュニティの形成に大きく寄与します。
山車・太鼓台
日本のお祭りと言えば、お神輿(みこし)
お神輿と同じく、神様の乗り物で町内を回るのが山車(だし)」・「太鼓台(たいこだい)
これらは、祭礼の際に引いたり担いだりする出し物。神輿よりさらに重く、車輪がついて、多くは人力で引きます。
起源は平安時代あるいは鎌倉時代まで遡るといわれています。
神様がお乗りになる山車・太鼓台の多くは、花や人形などの豪華な装飾が施されているのが特徴です。
火祭り
世界中の多くの文明において、火には特別な力が宿ると信じられてきました。
日本も例外ではなく、火による浄化、火勢による霊力の強化などを求め、様々な火祭りが誕生しました。
その歴史は古く、1000年以上続くものもあります。
日本の火祭りには、火を焚く、または数多くの松明(たいまつ)を使うなどの特徴があります。
盆踊り
「盆踊り」とは、仏教に由来する盆(ぼん)の時期(7月・8月)に先祖を供養するための踊り
日本全国に1,000以上の種類があると言われます。
広場の中央にやぐらを立て、やぐらの周囲を回りながら音頭にあわせて踊る形式が一般的。
誰でも気軽に参加できるので、昔から庶民の楽しみであり、夏の風物詩として親しまれています。
裸まつり
これは文字通り、褌(ふんどし)など裸体に近い姿で参加する祭りです。
裸で行うお祭りには、海岸で神輿を担ぐ「潮踏み」や宗教行事である「蘇民祭」・「西大寺会陽」など、それぞれに違う意味があります。
「裸まつり」という名前は最近になって付けられたふんどしで行われるお祭りの総称です。
なぜ、裸で行うのか?それは、産まれたままの姿となり清浄無垢の姿で神との交渉を行うためと言われています。
新しい生命力を得て復活した姿を示したり、穢(けが)れを払ったりする意味が込められているため、裸まつりの多くは、大晦日や小正月、夏の祓(はらえ、はらい)の祭りなど、節目の時期に行われます。
ねぶた
ねぶたという名前については、東北地方の風習である「眠り流し」からきているといわれています。
眠り流しは夏の農作業の妨げとなる眠気を追い払う行事で、灯籠や笹竹などを海や川に流すというもの。
ねぶた祭の大きな特徴は、人形をかたどった大型の灯籠が登場すること。
灯籠といえども、一般的にイメージされる海や川に流す灯籠とは大きく異なります。
青森ねぶた祭で登場する「山車灯籠(だしとうろう)」と呼ばれる灯籠は、多面体が組み上げられた立体的なものでかなり大きなサイズです。
昭和初期までは人形の灯籠を担ぐ担ぎねぶたが主流でしたが、戦後から大型化が進んでいき現在の大きさになりました。
ねぶたの題材は伝説上・歴史上の人物、歌舞伎、神仏などから選ばれることが多く、特に昭和中期頃までは歌舞伎・三国志など日本の合戦物・中国の伝説が大部分を占めていました。
最近では題材のバリエーションも増えてきていて、地元の伝説や偉人、大河ドラマなどのテレビ番組を題材としたねぶたが制作されることもあります。
花火
日本の花火は「花の火」と書くように、その美しさ、華やかさ、そして儚さは独特です。
その歴史は江戸時代(西暦1600年代)までさかのぼり、古くから庶民に親しまれています。
美しさを楽しむものですが、神聖な火の力で、慰霊や鎮魂を行うという意が込められたものもあります。
日本の花火の特徴は、丸く広がること。大きく整然と開花し、美しく変化していきます。
ダイナミックな演出が楽しめるのが、仕掛け花火。
文字や絵を表すもの、富士山やナイアガラの滝を表すものなどが見られます。
綱引き
綱引き(大綱引き)もお祭りになります。
これは、参加者が二手に分かれて、藁でできた長く太い綱を引く行事です。
元来、雨乞いのために行われていた儀式が原型になっており、縄は巨大な大蛇や龍を模しています。
蛇は雨が降ると現れるため、水神の使いとして考えられてきたためです。
力比べとしての娯楽でもあり、村同士で競って地域の団結力を高める大切な行事。
農村・漁村では、農作物と漁の豊凶を占う、五穀豊穣を願うなどの意義があり、また、交易都市では他の地域との交流を祝うものでありました。
来訪神(らいほうしん)
秋田県の神様「なまはげ」です。
大晦日の晩、集落の青年たちがこのお面をかぶってナマハゲに扮し、家々を回ります
なまはげは、日本各地にいる来訪神の一つ。
2018年、宮古島のパーントゥ、能登のアマメハギなどとともに、「来訪神 仮面・仮装の神々」がユネスコ無形文化遺産に登録されました。
これらの来訪神は神様の使者であり、年に一度、正月などの節目に人間の世界に来訪するとされています。
異形の姿で表現され、その仮面をかぶり仮装した者が、家や集落を訪れます。見た目は恐ろしいのですが、怠け者を戒めたり幸福をもたらしたりすると言われています。